ハスラーの革巻きステアリングは、本当に革なのか?を検証します。
こんな内容を真剣に考えてるのって、恐らく私だけだと思います。
一般の方はあまり馴染みのない分野かもしれませんが、イイ物を作る為に考え・公開してみようと思います。
分からない部分があれば、遠慮なくご質問下さい。
知っている範囲になってしまいますが、出来る限り回答させて頂きます。
ハスラーステアリングを分解する際、使われている革をまじまじと観察すると、素材感に違和感があった原因がはっきりしました。
質感は【革だか合皮だか分からない】感じがしました。
比較しやすいように、革を斜めにカットして断面をアップで見てみましょう。
従来本革として使用されている革は下から、
繊維層(網状層)
↓
銀面(乳頭層)
↓
表面(塗装面)
という構造です。
ハスラー等に使用されている革は、
繊維層(網状層)
↓
コーティング層
↓
表面
という構造です。
銀面は1枚の革に一層しかありません。
銀面が無い革は床革と呼ばれ、簡単に言うと銀付き革を薄くした際に出る、繊維層の革です。
車両用に使う際は、銀面層が無い代わりに、分厚いコーティングをしてあるのが一般的です。(コーティングの素材は様々)
参考までに、床革は溶接する時に使用する革手袋によく使用されます。
コレですね↓
製品は違いますが、国民生活センターの事例が分かりやすかったです。
http://www.kokusen.go.jp/jirei/data/201406_1.html
画像も含めたPDFファイル
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201406_12.pdf
コーティングが厚いので、外観や質感は合皮に近いと思います。
ただ、ベースは革である事に違いはないので、【本革】と表記されているのかな?と思います。
バックや服に使用される際は、品質表示に決まりがあるのですが、自動車内装用では恐らく決まりは無いんだと思います。
結果
銀付き革も床革も、牛革である事に変わりありません。
しかし、全く同じものだと言ってしまうのは乱暴だと思います。
ただ、決して【ウソ】ではないんですよね。
メーカーさんだって、決して騙そうなんて思っていないでしょう。
鮭弁が本当はマスであったりするのと似ています。
素材自体のコストの削減が激しい昨今、上質な本革を使用して作られているパーツはどのくらいあるのでしょうか?
私の知る限り、メーカーのコストダウンは悲しいくらい高級車まで進められています。
良い物を安くなんて言いと聞こえは良いですが、一定のレベル以上の物はそれなりにコストが掛かってしまいます。
企業努力だけでは安いモノは作れません。
と言っても、際限なくコストを掛けても物造りは出来ません。
限りなく適正な物を、適正な価格で作り続けていくのが理想です。