【2018年2月 みんカラ+掲載】
【★マトリョーシカの様なステアリング★】
普段なら加工完了までのブログアップですが、今日は加工中のステアリングを紹介します。
レアなステアリングをご依頼頂いております。
発売された当時小学生くらいかな~?
R30なんですが、やはりR30というと西部警察のイメージが強烈です。
レストアするのはR30スカイライン PNV
ん?PNV??
そう、ポール・ニューマン・バージョン!!
ごめんなさい、正直ポール・ニューマン・バージョンが存在したのを初めて知りました。
そんなレアなステアリング、レストアするのは超緊張しますね。
すでに部品は製廃でしょうから、万が一の事があれば大変です。
いや~、凄いキレイ!
細かい部分に若干のヤレはありますが、30年経ったとは思えない状態です。
センタースポークにはサインが!
この年代は革の歩留まりを考えてか、スポーク部で革を接着している事が多いです。
ただ、見た目も良くありませんし、使用に伴い剥がれるリスクが高いです。
ただレストアするだけでなく、ウィークポイントは改善していきたいと思います。
で、革を剥がして気が付いたんですが、下から出てきたのはウレタン仕様のステアリングでした。
そう、それはまるでマトリョーシカの様に…。
ま、これも古いステアリングではたまにあるんです。
特別仕様や上級グレード様に革巻き仕様を作る時、あえて専用のベースは作らずに既存のウレタンを使うんですね。
さらに言うと、ウレタン仕様は革巻きを作ってからそれを型に写しているので、シワやステッチの形状も再現されています。
革巻きステアリングの量産が難しかった頃によく使われた手法ですね。
マスターになるステアリングを作る際、下手だった部分(過剰なシワ・革のヨレ等)もそのままコピーされちゃうんですけどね。
ちょっと観察していると、スポーク裏側に日産エンブレム発見!
こういう位置にエンブレムを入れるのは、最近のステアリングには無いです。
嬉しくなって写真撮っちゃいました。
そんなレアなステアリングも、現代の技術と材料で生まれ変わります。
乞うご期待!
【★30数年の時を感じさせない仕上げ…★】
先日アップしたR30スカイライン ポール・ニューマンバージョンが仕上がりました。
レストアするにあたり、既存のステアリングのイメージを崩さずかつ、革を巻いたことによる違和感が出ないように仕上げる事を重視します。
現在の車の場合は【純正とは違う仕上がり】にする事も多々ありますが、レストアする際は少し勝手が違います。
また、革を巻くという作業を追加しますが、質が悪くてはその車両全体のバランスさえ崩しかねません。
上っ面だけキレイに仕上げた様に見せるレストアをされたパーツは、丁寧に仕上げたパーツと比べるとその雰囲気も全く違います。
やはり、30数年経っていたとしても、手で触る部分は新しい方が気持ちが良いです。
オーナー様のご希望でノーマル&ディンプルの組み合わせです。
また、分割は溝加工を追加してワンランク上の仕上がりです。
ステッチはオレンジのベースボールステッチです。ステッチは加工前もベースボールステッチでした。
細かい拘りでスポーク部は分割していません。
ここを分割にしてしまうと、革を接着する必要が出てしまいますが、工法としてはあまり良い方法とは言えません。
この先、良い状態を維持する上で手間を掛けても改善したい部分でした。
同様に裏側も接着でしたが、より確実な縫製で仕上げます。
もちろん、ここも手縫いで丁寧に縫っています。手触りを考慮して、ステッチはワンランク細い糸を使い、目立たないブラックで縫製します。
フレームが剥き出しの場合、スポーク根本部分の処理にとても気を遣います。
革の端面が見えない様に仕上げます。
ポール・ニューマンバージョンの特徴でもあるサインですが、これはプリントなので傷つけないように細心の注意を払って作業します。
もちろん、使用する革は自動車内装用規格で生産されていますので、今後の耐久性についても安心してご使用頂けます。
【★女房と畳は新しい方がいいという訳でもないです…★】
日本では【女房と畳は新しい方がいい】
フランスでは【女とワインは古い方がいい】
なんてことわざもあります。
どちらにしても、新しいものにも良さがあり、古いものにも良さがあります。
レストアの様に、【古いものを永く使える様にする】のをお手伝い出来ることはとても嬉しいですね。
使用できる期間(状態)を過ぎたとしても、それを作り直して更に永く付き合うことも出来ますから。
さて、R30スカイラインのレストアをご依頼頂いたお客様より、早速取付画像を頂きましたので紹介します。
また、ステアリングもとても気に入って頂けて嬉しいです。
感想を頂いたので先に紹介します。
【お客様より】
先日はありがとうございました。無事ステアリングを受け取りました。
ブログ等にも記載して頂き感謝致します。
昨日こちらでは雨天でありましたので本日装着しました。
写真で見た時点では、冒険し過ぎたかなと・・・
しかし、いざ装着してみると、イメージ以上にハマっています。ガチガチの純正志向より、日々手に触れる感触を重視して良かったです。
早速、走り出してみたら・・心地よさこの上なし、もっと早く依頼すれば良かったと。
信号で止まる度、交差点を曲がる度、ステアリングを触れながら思いました。
本当に、良い作品を制作して頂きありがとうございました。
また機会を見て、従来付いていた物やシフトノブ等依頼したいと思います。
そうなんです。
パーツ単品で見るよりも、やはり実車についた方が一段と良さが際立ちます。
運転中は常に手に触れ、視界に入るステアリングが汚れたり傷んだりすると、運転すること自体が億劫になってしまいます。
逆にレストアしたことで運転することが楽しくなって頂けると、作業をした私もとてもうれしい気持ちになります。
R30については、RS等の非革巻きであっても、同形状のステアリングであれば革巻き加工可能です。
今回の加工費(参考)
R30スカイラインステアリング革巻き加工:54780円(税抜価格:49800円)
+オプション 本体溝加工追加:3300円(税抜価格:3000円)
※ベースに傷みがある場合、別途補修費が発生する事があります。
※※ハイクラス仕様はお問い合わせ下さい。
※上記価格は消費税込の価格となります。
※上記には部品費・送料は含まれません。