ダットサン・フェアレディ

40年、50年前でも甦らせますよ!

年代物のステアリングのレストアが無事完了しました。
フェアレディを扱っているショップ様からのご依頼で、オリジナルを再現する形でレストアの依頼を頂きました。
Zが付く前の【ダットサン・フェアレディ】についてはwikiで。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3

フェアレディは、私が生まれる前に生産を終了している車種です。
ステアリングは社外との事ですが、同年代のモノと考えるとかなりの年数が経っています。ベースの状態は限界を超えています。


革は崩壊して強度は全くありません。
さらに、ベースの状態も悪くなっていて、グリップは変形してしまっています。


グリップの変形はゴム部分が剥がれて、さらに捻れてしまったのが原因でした。
中途半端に補修してもダメなので、全てバラバラにして徹底的にクリーニングします。
古いボンドも綺麗に除去します。


ゴムを外すと、アルミの一枚板を加工して作られたフレームになります。
素材として頑丈なゴムなので補修が出来ましたが、この少し後の年代の発泡ウレタンを使用したステアリングですと、ウレタンが崩壊してしまって補修も難しいケースが多々あります。


元通りにゴムを接着し、アルミの寸法に合わせて端面を整えます。


スポーク部分は別パーツになるので、先に接着&縫製で仕上げます。
オリジナルは接着のみでしたが、耐久性を考えて手間の掛かる縫製で仕上げます。


グリップ側の革を裁断し、オリジナルに忠実に全体を仕上げます。
分割はセンタースポーク部分の1箇所の為、裁断品は1枚で1メートルを超えます。
通常4分割は300~400㎜前後なのですが、長くなる程に歩留まりは悪くなるので、廃棄される部分が多くなってしまいます。
その為、材料費ウェイトが大きくなります。


グリップとスポークの境は、2枚が重なる工法となります。オリジナルと同様の処理です。
先に貼った部分は端末を薄く漉いてあるので、重なる部分は下に革があるようには見えません。
アルミとの境の部分も同様の処理をしているので、違和感無い触感に仕上がっています。


ステッチもクロスステッチを再現します。
オリジナルと違い、耐久性のある現代の素材を使用しているので、比べものにならないくらい強いです。


と、色々と説明しましたが、説明しきれない部分や理解するには難しい部分もあるので、全てを説明できたわけではありません。
仕上がってしまえば綺麗なステアリングですが、ここに至るまでは細かな調整や、経験を重ねる事でしか分からない感覚的な部分まで、この1本で30分特番が作れるのでは?と言うくらいのノウハウが詰まっています。
良いモノって全体的な雰囲気が違うんです。
細かい部分のチリがあっていないモノは、全体的に見ると締まりがないと言うか、バランスが悪いんです。

これからも、作る側が良いと思えるモノを作っていきたいと思います。

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